本
三十九階段:逃げるハネー
1914年5月。南アフリカで長年を過ごしたのちロンドンで退屈していたリチャード・ハネーは、怯えたアメリカ人を自分の部屋に入れてやる。数日後、その男が胸にナイフを突き立てられて床に倒れているのを見つける。殺人の容疑をかけられ、ドイツのスパイ組織に追われるハネーは、政府に警告できるまで三週間を生き延びなければならない。彼はギャロウェイの荒野へ逃れ、さらに南へ引き返して、閣僚たちの会合とケントの断崖へ向かう。
これはジョン・バカンの1915年の小説であり、ヒッチコックの大きく異なる映画ではない。ロンドン、セント・パンクラス、ケアンズモア・オブ・フリート、モファットは作中に名前が出てくるが、荒野のハネーの隠れ場所やケントのリゾート地ブラッドゲートは実在しない。一方、この本の題名のもとになった階段は実在する。
重大なネタバレを含みます。
英語からの翻訳です。
年表と場所
場所のラベルの意味は?
- 正確
- 出来事が起きた場所、または撮影された場所そのものを示しています。
- おおよそ
- 町、公園、地区など正しい範囲を示していますが、正確な地点ではありません。
- 推定
- 根拠のある推測です。出典の間で食い違いがあるか、正確な場所が不明です。
- 架空
- 物語の中にしかない場所です。ピンがある場合は、モデルや着想源となった実在の場所を示しています。
ハネーの住まいは「ラングハム・プレイスの裏にある新築ブロックの2階」で、ポートランド・プレイスに近い。ある晩、隣人のフランクリン・スカダーが怯えきって滑り込んでくる。無政府主義者のこと、6月15日にロンドンでギリシャ首相カロリデスを暗殺する陰謀のこと、「黒い石」という秘密結社のことを語る。ハネーは彼を四日間かくまう。ところが帰宅すると、スカダーはナイフで床に刺し留められていた。殺し屋たちが通りを見張り、警察は必ず自分を疑うだろう。ハネーはスカダーの暗号手帳を持ち出し、6月中旬まで姿を消すことにする。
場所の精度: この集合住宅は創作で、ピンはラングハム・プレイスを指す。
出典
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Plot; Background
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Chapters I–X
- The Thirty-Nine Steps
翌朝、ハネーは牛乳配達人に金を握らせて帽子と白い上っ張りを手に入れ、缶を提げて見張りの前を通り抜ける。変装は脇道に捨て、ユーストン・ロードを駆け抜けて、セント・パンクラス発7時10分の列車が動き出すところで最後尾の車両に飛び乗る。切符は持っていない。車掌が書いてくれた行き先はニュートン・スチュワートで、ふと頭に浮かんだだけの地名だった。ハネーは車中でスカダーの暗号を解こうとするうちに眠ってしまう。駅の巨大なヴィクトリア朝様式の列車上屋は今も残り、いまはユーロスターの列車が発着する。
訪問のヒント: セント・パンクラス国際駅は毎日開いている。バーロウの列車上屋は、上階のコンコースから見るのがよい。
出典
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Plot; Background
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Chapters I–X
- The Thirty-Nine Steps
ダンフリーズでハネーは、市場帰りの丘陵地の農民たちが乗るギャロウェイ行きの鈍行に乗り換え、「沼地のど真ん中に置かれた」小さな駅で降りる。駅長はジャガイモを掘っていた。滝のそばの羊飼いの小屋で眠り、翌朝は南へ大股で歩く。「羊飼いがケアンズモア・オブ・フリートと呼んでいた高い丘の脇をかすめて」の道だ。列車で引き返す途中、スコッツマン紙で、ポートランド・プレイスの殺人犯は北へ逃げたと警察が見ているのを読む。その後の数日間に、彼は荒野の宿屋でスカダーの暗号を解き、この丘陵で偵察機を相手に隠れん坊をする。
訪問のヒント: 山頂は国立自然保護区で、保護区の南端にあるドロモアでは、NatureScotが通年開いているビジターセンターを運営している。
出典
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Chapters I–X
- Cairnsmore of Fleet
- 該当箇所:
- Introduction; National nature reserve
- The Thirty-Nine Steps
道路工夫に変装したハネーは追っ手をだまし、間の抜けたロンドンの知人から車を盗んで、最後には荒野の一軒家に迷い込む。そこの主は親切な禿頭の男で、アマチュアの考古学者を名乗り、警察からハネーをかくまってくれる。ところがハネーは、老人が猛禽のように目に覆いをかぶせる癖があることに気づく。この男こそ黒い石の首領だった。爆薬だらけの物置に閉じ込められたハネーは、レンタナイトの塊で壁を吹き飛ばして脱出し、煙で半ば中毒になりながらよろよろと歩み去り、道路工夫のターンブルのもとに身を隠す。この家は名前もなく、架空のものである。
地図に表示していません訪問可否は未確認場所の精度: この農家は架空のもので、バカンは地名を書いていない。
出典
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Chapters I–X
- The Thirty-Nine Steps
6月12日、回復したハネーは、家畜商人ヒスロップと牛たちとともに峠を越え、「陽光あふれるアナンの谷を下って」モファットへ歩く。十二マイルほどの道に丸一日かかった。粗末なパブで食事をとり、幹線の分岐駅まで2マイル歩くが、丘の斜面で眠り込んで、南行きの夜行急行にあやうく乗り遅れそうになる。その後クルー、バーミンガム、レディング、そしてバークシャーの小さな駅へ。そこでは外務省のサー・ウォルター・ブリヴァントがフライフィッシングをしている。モファットは今もA701号線沿いの温泉町である。
場所の精度: 小説はモファットの名を挙げている。2マイル先の幹線の分岐駅はビータックだったが、その駅は閉鎖された。
出典
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Chapters I–X
- The Thirty-Nine Steps
カロリデスは撃たれ、ハネーの容疑は晴れる。だが6月14日の夜、落ち着かないハネーは、ジャーミン・ストリートで「人殺し」と叫んだ旧知の男を殴り、セント・ジェームズ・パークを横切って警官を振り切り、クイーン・アンズ・ゲートのサー・ウォルター邸にたどり着く。そこでは大臣たちがフランス人の将軍と海軍の計画を協議していた。第一海軍卿が彼のそばを通り過ぎるが、その目の奥に、ハネーに気づいたような色が浮かぶ。電話で確かめると、本物の第一海軍卿は三十分前に床に就いていた。スパイたちは計画を手に入れたのだ。
場所の精度: バカンは通りの名は挙げているが、番地は示していない。
訪問のヒント: セント・ジェームズ・パークとウェストミンスターの間にある、18世紀初頭の家並みの静かな通り。家はいずれも私邸である。
出典
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Chapters I–X
- The Thirty-Nine Steps
スカダーのメモ、「三十九段、数えた――満潮は午後10時17分」は、ケントの白亜の岬ザ・ラフへとハネーを導く。そこの一軒の別荘には、海岸へ下る私設の階段がちょうど39段あり、沖には一隻のヨットが待っている。そこにいた三人の男は普通のイギリス人らしくテニスに興じていたが、6月15日、ハネーは乗り込んで彼らを逮捕し、ヨットは押収される。ザ・ラフは架空の場所だ。しかしバカンは、ブロードステアーズの断崖の上にあるセント・キュービーという家で療養しながらこの本を書いており、幼い娘が海岸への階段を数えた。実際には78段あった。
場所の精度: ザ・ラフは架空の場所。ピンは、ブロードステアーズのクリフ・プロムナードにあるセント・キュービーを指す。その階段が題名の着想になった。
出典
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Plot; Background
- The Thirty-Nine Steps
- 該当箇所:
- Chapters I–X
- The Thirty-Nine Steps